Some Day ~夢に向かって~
「よかったじゃん、いきなり先輩とお近づきになれて。」
昼休み、由夏に誘われて、お弁当を食べようと屋上に上がってきた途端、冷やかし気味に言われた私はかぶりを振った。
「無理、本当にもう無理、助けてよ由夏。」
憧れの人と、いきなりそれこそ肩が触れ合うくらいに接近している状況に、私の心臓はすでに破裂寸前。授業なんて完全に上の空だった。
「何言ってんの?仲良さそうにいろいろ話してたじゃない。」
「そう?」
「また、とぼけちゃって。何話してたのよ。」
興味津々の様子で聞いて来る由夏だけど、
「そんなに話してた?まぁ家はどの辺とか、部活はやってたのとかくらいは聞かれたけど、後は授業でわからないことをたまに聞かれたくらいだよ。」
私としては、聞かれたことに答えるのが精一杯。とてもこちらから話し掛けるなんて出来るはずもなく、必要最小限の会話を交わしてただけだ。
「それに・・・。」
私を悩ませてるのは、先輩との異常接近だけではなかった。
少し落ち着いて、ふと周囲を見回した私の目に入ったものは・・・。
(私、なんか睨まれてる。)
私に鋭い視線を送って来る女子、複数。原因は・・・そういうことだよね。
確かに逆の立場だったら、私も羨ましく思うかもしれない。でもそんなに睨まなくったって・・・。
(私、先輩に頼まれたんです。それだけですから、みなさん・・・。)
私の心の叫びなんか、当然彼女達に届くわけもなく、私はとうとう居たたまれなくなって、逃げるようにここに来たってわけ。
「私、教室戻りたくない。」
訴えるように呟いた私に、由夏はため息をついた。
「じゃ、先輩にそう言ったら。あなたの近くにいると心臓が爆発しそうで、授業に集中できないし、周りの女子の視線も痛いから、もう勘弁して下さいって。」
「そ、そんなこと言えるわけないでしょ。」
「だったら仕方ないじゃん。」
「由夏・・・。」
「だいたい悠は贅沢だよ。みんなが羨ましがるような状況にいながら、そこから逃げたいなんてさ。悠が先輩のこと、何とも思ってないんなら、まだわかるけど、あんなに先輩、先輩って言ってたじゃん。その人が向こうから近づいてきたんだよ。」
「近づいて来たって・・・。それはたまたま席が隣だったってだけだし。」
「そうだよ、確かにたまたま。でもそのたまたまが大事なんじゃない?」
「えっ?」
キョトンとする私に構わず、由夏は続ける。
「だってそうでしょ。1年先輩だったあの人がたまたま事情があって1年休学したから、たまたま同じクラスになって、たまたま席が隣同士になって、そしてたまたま必要があって、向こうから話しかけてきた。悠にとって都合のいい、たまたまがこんなに続いたんだよ、ひょっとしたら運命なのかもしれないじゃん。」
「運命?あり得ないよ、そんなの。」
「どうして?」
「だって、私みたいな何の取り柄もない子が先輩に相手にしてもらえるわけないじゃん。」
「はぁ?」
呆れ顔になる由夏。
「悠、それ本気で言ってるの?」
「うん。」
「・・・。」
(この子、何にも自分のこと、わかってないんだ・・・。)
由夏が何でまた、ため息をついてるのか、私には全然わからなかった。
昼休み、由夏に誘われて、お弁当を食べようと屋上に上がってきた途端、冷やかし気味に言われた私はかぶりを振った。
「無理、本当にもう無理、助けてよ由夏。」
憧れの人と、いきなりそれこそ肩が触れ合うくらいに接近している状況に、私の心臓はすでに破裂寸前。授業なんて完全に上の空だった。
「何言ってんの?仲良さそうにいろいろ話してたじゃない。」
「そう?」
「また、とぼけちゃって。何話してたのよ。」
興味津々の様子で聞いて来る由夏だけど、
「そんなに話してた?まぁ家はどの辺とか、部活はやってたのとかくらいは聞かれたけど、後は授業でわからないことをたまに聞かれたくらいだよ。」
私としては、聞かれたことに答えるのが精一杯。とてもこちらから話し掛けるなんて出来るはずもなく、必要最小限の会話を交わしてただけだ。
「それに・・・。」
私を悩ませてるのは、先輩との異常接近だけではなかった。
少し落ち着いて、ふと周囲を見回した私の目に入ったものは・・・。
(私、なんか睨まれてる。)
私に鋭い視線を送って来る女子、複数。原因は・・・そういうことだよね。
確かに逆の立場だったら、私も羨ましく思うかもしれない。でもそんなに睨まなくったって・・・。
(私、先輩に頼まれたんです。それだけですから、みなさん・・・。)
私の心の叫びなんか、当然彼女達に届くわけもなく、私はとうとう居たたまれなくなって、逃げるようにここに来たってわけ。
「私、教室戻りたくない。」
訴えるように呟いた私に、由夏はため息をついた。
「じゃ、先輩にそう言ったら。あなたの近くにいると心臓が爆発しそうで、授業に集中できないし、周りの女子の視線も痛いから、もう勘弁して下さいって。」
「そ、そんなこと言えるわけないでしょ。」
「だったら仕方ないじゃん。」
「由夏・・・。」
「だいたい悠は贅沢だよ。みんなが羨ましがるような状況にいながら、そこから逃げたいなんてさ。悠が先輩のこと、何とも思ってないんなら、まだわかるけど、あんなに先輩、先輩って言ってたじゃん。その人が向こうから近づいてきたんだよ。」
「近づいて来たって・・・。それはたまたま席が隣だったってだけだし。」
「そうだよ、確かにたまたま。でもそのたまたまが大事なんじゃない?」
「えっ?」
キョトンとする私に構わず、由夏は続ける。
「だってそうでしょ。1年先輩だったあの人がたまたま事情があって1年休学したから、たまたま同じクラスになって、たまたま席が隣同士になって、そしてたまたま必要があって、向こうから話しかけてきた。悠にとって都合のいい、たまたまがこんなに続いたんだよ、ひょっとしたら運命なのかもしれないじゃん。」
「運命?あり得ないよ、そんなの。」
「どうして?」
「だって、私みたいな何の取り柄もない子が先輩に相手にしてもらえるわけないじゃん。」
「はぁ?」
呆れ顔になる由夏。
「悠、それ本気で言ってるの?」
「うん。」
「・・・。」
(この子、何にも自分のこと、わかってないんだ・・・。)
由夏が何でまた、ため息をついてるのか、私には全然わからなかった。