Some Day ~夢に向かって~
水木の様子がおかしい。昨日は電話の途中でいきなり切られたし、今朝もおはようって声を掛けても、返事もないし、目も合わせてくれない。こんなことは初めてだ。
俺、何か水木に悪いことしたかな?昨日だって、少しでも早く知らせて、勉強会のお礼を言いたかっただけなのに・・・。何が起こったのか、どうしたらいいのか、全くわからないまま、昼休みになり、水木は岩武にいつものように屋上に連れて行かれてしまった。
なんか食欲も起こらず、教室でボヤっとしてると、塚原が声を掛けて来た。
「なにしてんすか、メシ食わないんですか?」
「あ、ああ。」
気のない返事をする俺に、なにやら意味ありげな笑いを向けると塚原は
「じゃ、ちょっと付き合って下さいよ。」
そう言って歩き出した。そして、向かった先はグラウンド。
「水木を怒らせちゃいましたね。」
「えっ?」
いきなりの後輩のセリフに、俺は問い返す。
「先輩、水木は先輩の何ですか?先輩は水木の何なんですか?」
「塚原・・・。」
言葉を失う俺に
「って、言われて、水木は返事に困ってましたよ。」
「何か知ってるのか?」
「告白されてましたよ、あいつ。」
「えっ?」
驚く俺に構わず、塚原は続ける。
「感謝して下さいよ。俺が気が付かなきゃ、水木のあの可憐な唇は他の男のモノになってたかもしれないんですから。」
すごいことを言われて、絶句してしまう俺。
「先輩、水木の隣の席なんでしょ?」
「・・・。」
「なのに、水木が加瀬に呼び出されたのにも気付かなかったんですか?由夏だって、俺だって気が付いたのに。」
「昨日のことか、それ?」
「ええ。先輩はいくらなんでも、学校で普段、水木に関心払わな過ぎですよ。」
「そんなこと・・・。」
「安心してるんでしょ、もう水木は俺のモノだって。」
「塚原・・・。」
「確かに先輩はモテる、俺なんかにすりゃ羨ましい限りです。だけど・・・これだけは覚えといて下さい。モテるのは先輩だけじゃない、水木を見てる奴は先輩だけじゃないんですよ。」
「・・・。」
「受験が近づいてきて、悩んでるのも先輩だけじゃない。」
畳みかけられるように言われても、俺は何も言えないままだ。
「受験が迫って来て、恋だのなんだの言ってる場合じゃないっていうのは、その通りかもしれない。でも俺達に迫ってるのは受験だけじゃない。卒業もです、俺達はもうすぐバラバラになっちまうんです。その前に想いを・・・って思い悩んでる奴らは他にも、きっといますよ。」
「塚原・・・。」
「水木のこと、好きなんでしょ?水木が先輩のこと、どう思ってるのか、もうわかってるんでしょ?」
「・・・。」
「だったら、もういい加減はっきりしてやったら、どうです?このままじゃ先輩に憧れてる子達、水木を見てる連中が、みんな可哀想でしょ。いや、誰よりも水木が。」
「・・・。」
「水木のハートをつかむ戦いは、確かにもう先輩が圧倒的に優勢かもしれない。でも勝負事に絶対はないっていうのは、俺達よくわかってるはずでしょ。」
こいつ、いつからこんな耳の痛いことを先輩に向かって平気で言うようになりやがった。だけど反論の余地は全くなく、何も言えない俺。
「油断してると、やられますよ。」
そう言い残すと、塚原は歩き出した。
「塚原、お前も水木を見てる1人なのか?」
ようやく俺の口から出た言葉は、こんな情けないセリフ。
「いえ、俺が見てるのは別の奴。でもそいつがいつも水木と一緒に居やがるから、どうしても水木の事も、俺の視界に入って来る、そういうことです。だからその点は、ご心配なく。」
そう言うと塚原は笑った。
俺、何か水木に悪いことしたかな?昨日だって、少しでも早く知らせて、勉強会のお礼を言いたかっただけなのに・・・。何が起こったのか、どうしたらいいのか、全くわからないまま、昼休みになり、水木は岩武にいつものように屋上に連れて行かれてしまった。
なんか食欲も起こらず、教室でボヤっとしてると、塚原が声を掛けて来た。
「なにしてんすか、メシ食わないんですか?」
「あ、ああ。」
気のない返事をする俺に、なにやら意味ありげな笑いを向けると塚原は
「じゃ、ちょっと付き合って下さいよ。」
そう言って歩き出した。そして、向かった先はグラウンド。
「水木を怒らせちゃいましたね。」
「えっ?」
いきなりの後輩のセリフに、俺は問い返す。
「先輩、水木は先輩の何ですか?先輩は水木の何なんですか?」
「塚原・・・。」
言葉を失う俺に
「って、言われて、水木は返事に困ってましたよ。」
「何か知ってるのか?」
「告白されてましたよ、あいつ。」
「えっ?」
驚く俺に構わず、塚原は続ける。
「感謝して下さいよ。俺が気が付かなきゃ、水木のあの可憐な唇は他の男のモノになってたかもしれないんですから。」
すごいことを言われて、絶句してしまう俺。
「先輩、水木の隣の席なんでしょ?」
「・・・。」
「なのに、水木が加瀬に呼び出されたのにも気付かなかったんですか?由夏だって、俺だって気が付いたのに。」
「昨日のことか、それ?」
「ええ。先輩はいくらなんでも、学校で普段、水木に関心払わな過ぎですよ。」
「そんなこと・・・。」
「安心してるんでしょ、もう水木は俺のモノだって。」
「塚原・・・。」
「確かに先輩はモテる、俺なんかにすりゃ羨ましい限りです。だけど・・・これだけは覚えといて下さい。モテるのは先輩だけじゃない、水木を見てる奴は先輩だけじゃないんですよ。」
「・・・。」
「受験が近づいてきて、悩んでるのも先輩だけじゃない。」
畳みかけられるように言われても、俺は何も言えないままだ。
「受験が迫って来て、恋だのなんだの言ってる場合じゃないっていうのは、その通りかもしれない。でも俺達に迫ってるのは受験だけじゃない。卒業もです、俺達はもうすぐバラバラになっちまうんです。その前に想いを・・・って思い悩んでる奴らは他にも、きっといますよ。」
「塚原・・・。」
「水木のこと、好きなんでしょ?水木が先輩のこと、どう思ってるのか、もうわかってるんでしょ?」
「・・・。」
「だったら、もういい加減はっきりしてやったら、どうです?このままじゃ先輩に憧れてる子達、水木を見てる連中が、みんな可哀想でしょ。いや、誰よりも水木が。」
「・・・。」
「水木のハートをつかむ戦いは、確かにもう先輩が圧倒的に優勢かもしれない。でも勝負事に絶対はないっていうのは、俺達よくわかってるはずでしょ。」
こいつ、いつからこんな耳の痛いことを先輩に向かって平気で言うようになりやがった。だけど反論の余地は全くなく、何も言えない俺。
「油断してると、やられますよ。」
そう言い残すと、塚原は歩き出した。
「塚原、お前も水木を見てる1人なのか?」
ようやく俺の口から出た言葉は、こんな情けないセリフ。
「いえ、俺が見てるのは別の奴。でもそいつがいつも水木と一緒に居やがるから、どうしても水木の事も、俺の視界に入って来る、そういうことです。だからその点は、ご心配なく。」
そう言うと塚原は笑った。