Some Day ~夢に向かって~
「松本さんから連絡ありました?」


「あるわけねぇじゃん。相手は今やプロ野球界の若き大スタ-様だぜ。」


「なに言ってるんですか。」


「本当だよ。こっちがいくらメ-ルしたって、もうなしのつぶて。もう、俺なんかと住む世界が違うんだよ、あいつは。」


「まさか・・・。」


「そう言えば、今度あいつに会ったら敬語かな?なんてったって、俺後輩だもんな。『先輩、お久しぶりです。』って。」


「ハハハ・・・。」


休み時間、先輩は沖田くん、塚原くんとこんな話をしている。本当のことなのか、ネタなのか、先輩の言ってることに、なんとなく不愉快を感じていると由夏が近づいて来た。


「先輩。」


あれ?珍しく私じゃなくて、先輩に用みたい。


「うん?」


「松本先輩が来た時、花束贈呈とかあるんですかね?」


「さぁ、俺に聞かれても困るけど、あるかもな。」


「それって私、出来ませんか?」


(えっ、立候補?)


私はビックリして由夏を見るけど、その表情は真剣そのもの。


「バカか、そういうのは生徒会の仕事だ。今の生徒会長、確か2年の女子だろ、そいつがやるに決まってるじゃねぇか。」


「あんたに聞いてないよ。」


由夏ってなんで、塚原くんにモノを言う時、あんなムキになるんだろう。由夏の剣幕に、塚原くんはムッとした表情になるけど、黙る。


「山上先生に話してもらえませんか?私がやりたがってるって。」


うわっ、由夏すごい積極的。


「いや、別にゴ-さんが決めるわけじゃないだろうし。」


困惑気味の先輩、わかるよなぁ。


「わかってます。」


「それに、そんなの自薦他薦にしたら、収拾つかなくなっちゃうよ。」


たしなめるように沖田くんが言うのを、抑えると先輩は言った。


「わかった、一緒に昼休みにゴ-さんの所に行ってみよう。それ以上のことは出来ないけど。」


「ありがとうございます。」


嬉しそうにペコリと頭を下げる由夏。


「岩武は松本の大ファンなんだもんな。」


「はい、とにかく自分の気持ちは、声に出さなかったら、誰にも伝わりませんから。」


そう言いながら、由夏が私にチラリと視線を送ったような気がするのは、気のせい?
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