Some Day ~夢に向かって~
そして取り残されたような俺達2人。いつも授業中、隣の席にいるのに、いつの間にか話すことも、目を合わせることも出来なくなってしまった俺達。


確かに今の俺にとって、水木と2人きりになれたこの時間は、最高のプレゼント。だけど、あまりにも突然巡って来た待ち望んでいた時に、俺がなんて切り出していいのか、戸惑っていると、水木の方が口を開いた。


「あの・・・お誕生日おめでとうございます。知ってたんですけど・・・ごめんなさい、何も用意してなくて・・・。」


そんなの当たり前だ、あんなに気まずい関係だったんだから。でも水木が俺の誕生日を知っていてくれただけで嬉しい。


「ありがとう、そう言ってもらえるだけで嬉しいよ。」


まだ視線を合わせられない俺達。


「あのさ・・・ゴメンな。」


「えっ?」


ようやく顔を上げてくれた水木。


「とりあえず謝ったけど、実は俺は、水木が何で怒っているのか、俺が何をしてしまったのか、まだわかってないんだ。最低だよな・・・、本当にゴメン。」


そう言う俺に、首を横にふるふると振った水木はまた少しうつむいてしまう。


「ううん、違います。先輩は何もしてません。ただ私が勝手に勘違いして・・・最低なのは私の方なんです・・・。」


「水木・・・。」


彼女が何を言いたいのか、全く分からなくて戸惑う俺。


「みどりさんが先輩の家庭教師になったって聞いて・・・。」


「?」


「先輩がみどりさんと2人きりで、一緒の部屋にいるのかと思ったら、もう耐えられなくちゃって・・・。」


それは、あまりにも意外な言葉だった。
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