地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~
取材レポート
「あの、すみません、先月お電話致しました、日本の山下と申します」
昨年の夏のことだ。
私はイギリスの田舎町にある古びた一家を尋ねていた。
ギギ………
大きな玄関の扉が開くと、中から背の高い中年の紳士が現れた。
「おや、お待ちしておりましたよ。たしか、日本のテレビ番組の方でしたね」
「はい、今日はこの町で起きた例の事件について、当時を知るあなたにお話をお伺いしたく参りました」
私が簡単な自己紹介と取材の説明を済ませると、
「まぁ、立ち話も難ですから……」
と、彼は私を部屋の奥に案内した。
< 1 / 44 >