地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

「助けてよ、誰か!ねえ!!!!」


男を尻目にして女は叫んだ。


ピエールと名乗る男を怒らせてしまうかもしれない。そんな考えが彼女にもあったが、彼女は構わず叫び続けた。


「無駄無駄。ここは地下室なんだ。

かなり深いところにあるね。

だからリサの声は誰にも聞こえないし、届かない」


そう言いながら男は女の手足の拘束をといていった。


「言っておくけど、これでもしリサが暴れたら僕は容赦しないよ」


男はポケットから拳銃を取り出した。恐ろしいことに、それを女に向けて笑った。

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