地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

時刻は午後2時頃。


家の外ではポツポツと雨が降りだした。


「もう三十年近く前の話になるかな………」


紳士と私は色の濃いコーヒーを飲みながら、暖炉の前の椅子に腰かけて話をした。


「この家が事件の現場になったんですよね。たしか地下室に男が女を閉じ込めて」


私は日本から持ち込んだノートとペンを手に男に尋ねた。

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