地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~
「そう。その事件から数年がして格安でこの家が売りに出されたから私が買ったんだよ。
まぁ、すぐにあの地下室は閉じてしまったがね。なんせ気持ちが良いものではないから」
紳士は時折考え込んだように俯くことがあったが、年のわりにはっきりとした口調で私の質問に答えた。
「詳しくお聞かせ願えませんか?
私、ここにくる前に当時の新聞記事を用意しましたし」
私は大きめの鞄から古びた新聞記事のコピーを取り出した。
「ほう……」
紳士はその記事を興味深そうに見つめた。