地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

「あの………」


「ん、なんだね…?」


私は思いきって彼に尋ねた。


「その、話に出てきた臭いはまだするんですか? この家に…」


「いや、私が越してきた頃にはすっかり消えていたよ」


「そうですか……」


「まぁ、噂の範疇だからね。コーヒー、いれてくるよ」


紳士はキッチンに消えていった。
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