幼馴染みと、恋とか愛とか
それは私だけでなく皆もそうだったんだけど、バス停に向かうのは私くらいのもので、だから途中から一人になるのが嫌でノロノロと帰り支度をしていた。



「帰らないのか?」


一番最後に裏口へ来た支店長は、私がまだ残っていることに驚いてた。


「はい、ちょっと」


窓口から内勤に換えてくれた支店長に頼るのも悪いと思い、言い出せずに口籠もる。
だけど支店長は私の様子がおかしいと判断したのか、取り敢えず中に戻っておいで、と誘った。


「お茶でも飲もう」


そう言って貰えて嬉しかった。
遅くなりついでに送ってもらえるかもしれないと思ったんだ。


だけど__




「っや…!」


急に抱き締められて戸惑った。
支店長はあの人と同じ様な顔で笑い、「隙があり過ぎるよ」と囁いた。


「そんなだから男に付け入れられるんだ」


こんな風に…と言われて胸を弄ってくる。
嬉しそうに息を荒くして撫で回してきて、私は必死で抵抗をするしかなくて。


「敏感だね」


服の上からでも分かるよ…と囁かれ、怖くて怖くて声も出せずに震えた。


「そんなに怯えるなよ」


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