幼馴染みと、恋とか愛とか

そう言ってる紳士そうな顔つきが獣みたいに見えた。

必死でバッグを振り回して体を離し、支店長が転んだ隙に店の外へと逃げ出した。


外にはあの人の姿はなかった。
私は走ってバス停に向かい、行き先も確認せずに到着したバスに乗り込んだ。


激しく息を乱してる私を同じバスに乗ってる人達がジロジロ見てる。
髪の毛も服装も乱れたままになってて、それを変だと思われてたに違いない。


泣き出しそうになって、ぎゅっと胸の辺りを掴んだ。
乗って直ぐにバスを降り、自宅まではタクシーで帰った。



翌朝、両親に銀行を辞めると言った。
理由は？と訊かれたが、何も言いたくない、と突っぱねた。


両親は（特に母は）ガッカリして、いい所に就職出来たのに…と残念がった。
再就職は早めにしなさいよ、と言われたが、私はもう正社員として働く気力を失ってた。


もう二度と残業なんてしたくなかった。
定時で上がれる様な仕事をしたいと思い、派遣登録をして働く場所を転々と変えた。