幼馴染みと、恋とか愛とか
こっちは彼の視線を感じて目を向け、「えっ…どうって」と動揺を隠しきれずに狼狽えた。


「萌音は確か、情報処理の資格を取ってると言ってただろ。それでビジネス文書くらいなら楽に作れると思うんだけど」


つまりはそういう仕事をする人がこのオフィスには欲しいみたいなんだ、と言われてる様で、私はオロオロとしながらも「そりゃまあ出来ないこともないけど…」とこぼす。


「だけどさ」


言い返すなら今しかないと思い直して、昨日と言ってることが違うじゃん!と声を上げそうになったんだが__


「いい話じゃないか萌音。自分の持ってる資格も活かせるし『渡りに船』だよ!」


父の歓喜する声に反論することも阻まれ、ぐっと息を飲み込んだ。


「そうよ萌音、このオフィスに電話して伺ってみなさいよ」


母までが満面の笑みで同調し、それから紫苑を見直して、彼の左手を自分の両手で包み込みながら、大袈裟に「ありがとう」と頭を下げてしまってる。


「流石に紫苑君だ。君はいつも萌音のピンチを救ってくれるな」


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