幼馴染みと、恋とか愛とか
特に視線の向きが気になって仕様がなくて、そんな自分も自意識過剰みたいで大嫌いなのに。


こんな私に冗談でも『嫁になれよ』なんて言わないで。
本気で信じれる筈がないでしょう。


(ひょっとして一番ブラックだったのは紫苑!?)


そんなことを思ってしまった。

行く所もないからトイレの個室に駆け込み、大きな溜息を吐いて便座にしゃがみ込んだ___。




一息ついて社長室に戻ると、中央のデスクに着いてる紫苑の側には人がいて、ビクッと背筋を伸ばして確認する。


「お疲れ様です」


人の良さそうな首藤さんが振り返って挨拶してきて、私は顔を引きつらせそうになりながらも「お疲れ様です」と目を伏せる。


そのままドアを閉めて中に入ったのはいいんだけど、紫苑の手元が気になって目線を向けると__


(まだ片付けてない!)


ランチケースをそのままデスクの上に置いてる。紫苑のお弁当を作り続けてることは、首藤さんにはまだ話せてもないのに。


冷や汗を感じながら、ちらりと目線を首藤さんに移し、どういう風に思ってるのかを探ろうとしたんだけど。

< 112 / 221 >

この作品をシェア

pagetop