幼馴染みと、恋とか愛とか
彼の口角が下がってる様に見えた時点で、紛れもなく仏頂面だと判断出来たから、それ以上は目線を上に向けることも出来なくて……。



(どうして公然と見せびらかすようにするのよ)


後でやめるように言っておこう。
それから、今後はあんな冗談を間違っても言わないで、と釘を刺しておかないと。


私はもうすっかり諦めて、いつかまた首藤さんに絡まれるんだろうな、と覚悟を決めた。

首藤さんと紫苑は、昼休みも終わらないうちから仕事の確認を始めてしまい、おかげで私までも休んでられなくなった。


仕様がなくデスクに移動して座ろうとした。

前屈みになると胸を見られてる様な気がして、ピンと背中を伸ばしたまま直立で着席。

そうする自分が本当に嫌で。
首藤さんに早く出て行って欲しい…と願った。



三十分程度の会話で、紫苑と首藤さんは確認を済ませたらしい。
パソコンを覗き込んでた視線が離れ、私の方に流されてきたから緊張した。


「お邪魔しました。三橋さん」


物腰の柔らかそうな言い方。

だけど目元は吊り上ってるように見え、私は頬を強張らせそうになりながらも何とか声を返さないといけない。


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