幼馴染みと、恋とか愛とか
「そうやって社長だけを特別視するのは嫌だな」


自分にも同じ様にして欲しいと思ってるのか、するっと髪の毛の先を指で触れ……


「僕にも作ってきてくれない?三橋さん」


甘ったるい声を間近で聞かせ、私は恐怖でゾクッとした。


「何となく僕の気持ちを分かってるんでしょ」


ねぇ…と指の先が髪から離れて胸の方に下りる。
ビクッとして顔を上げるとニヤつく表情が視界に入り、ヒヤリ…と汗を感じる。


「どうしました?そんなに顔を強張らせて」


別に何もしてないですよ…と優しい言い方をしてるけど、指先は確実に胸に触れ、首藤さんの喉仏がゴクン…と唾を飲み込むのを確認した。



「やめて下さい!」


何とか声を振り絞って拒否する。
唇は震えてたけど、私はキッと彼を睨んだ。


「首藤さんの気持ちとか言われても知りません。私はただ社長に頼まれてお弁当を作ってるだけです。

それを特別視と言われたら困ります。私はただ秘書として……!」


その先の言葉が言えなかったのは、首藤さんが怖い顔で私の顎を掴んで持ち上げたからだ。


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