幼馴染みと、恋とか愛とか
「弁当を作るのが秘書の仕事?冗談じゃないですよ。それは恋人か家族のする役目だろ」


やっぱり社長とは特別な関係なのかと迫ってきて、私は震えて声も出せずに首を横に振るだけで。


「まあいいですよ。僕は別に三橋萌音が実は社長の愛人だと言ってもいいんだから。毎日二人だけで社長室にいて、イチャイチャしてると話したって構わない」



(この人は……)


あの待ち伏せしてた人や支店長よりも人が悪い。
自分だけが社長室への出入りを許されてるもんだから、それを利用して私を陥れようとしてる。


「ほら、決めて下さいよ。変な噂を流されるのと、俺にも弁当を作るの、どっちがいいですか?」


僕を俺と言い換えた。
多分今目の前にいるのが本当の首藤さん___


「………っや…!」


やめて、離して。

そう言いたいのに顎を掴んでる指先に力が込められ、口を動かすことも出来ない。


(助けて…紫苑……)


今みたいな時に助けに来て。
そうでないと私は___



ぼろっと涙が溢れ落ちて、それを見た首藤さんの目が細くなった。


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