幼馴染みと、恋とか愛とか

「可愛いなぁ。泣いてるの?」


あの待ち伏せしてた人と同じ言葉。
膝や唇だけの震えは途端に全身に広がり、私はブルブルとなりながら身を小さく縮こませた。


「くすっ」


首藤さんは鼻で笑い、面白そうなものを見る目つきで眺めてる。
私は彼のことを怖いと思っても視線を逸らせなくて、睨むように彼の表情をガン見するしかなくて。


「その震えてる唇にキスしてもいい?」


冗談なのか本気なのか、判断に迷う様な台詞。
私は困って何も言えずに初めて目線を逸らせ、ぎゅっと瞼を固く閉じた。



「おいっ!」


その声がした途端、首藤さんはビクッと指先を動かす。
私は目を開けると声がした方を振り向き、それと同時に首藤さんが殴り付けられてしまった。

殴った本人は顔を真っ赤にしていて、私はその横顔を見て目を丸くする。


「首藤、お前は」


怒りを堪えるように声を出し、ぐっと悔しそうに唇を噛み締めた。



「………し……おん…」


名前を呼ぶとちらっと目線が向けられてくる。

私はそれを確認すると気が抜けて、ふ…と後ろに倒れ込んだ。


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