幼馴染みと、恋とか愛とか
それを見つめて、紫苑は蓮也の進学を止めさせるどころか、反対に私の仕事の口を紹介していったんだ…と改めて認識していた。


(誰も仕事を紹介してなんて頼んでないのに!)


ブチッと切れそうになり、ぐっとメモ紙を握りしめる。
そのままダッシュで紫苑の後を追い掛け、両親の脇をすり抜けて、玄関ドアを潜り抜けた。




「紫苑!」


車に乗り込もうとしていた彼を呼び止めると、振り向いた紫苑が「何だよ」と機嫌悪そうな声を出す。


「昨日と話が違うじゃない!私は蓮也の進学を止めさせてと言ったのよ!?」


自分の就職の斡旋なんて頼んでない!と豪語すると、彼は深い溜息を吐き出し……


「あのなぁ、どう考えても蓮也よりも萌音の将来の方が心配だろ。アラサーで引きこもりやニートになんてなられたら両親が悲しむぞ」


自分は私の未来を救う手立てを講じたまでだと言い放ち、それよりも…と言葉を続けた。


「そのルームウエアのままで外に出てくるなよ、ノーブラだって世間に知らしめたいのか?」


トン!と指先で胸元の肋骨を押し「さっさと中に入れ」と言ってくる。

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