幼馴染みと、恋とか愛とか
吐露する言葉にキョトンとしてしまい、唖然と紫苑の顔を見つめる。
眉間に皺を寄せてる紫苑は、私が窺ってるのもお構いなしな様子でいる。


「萌音には二度と手出しさせない。解雇して、葬ってやる」


…ってゲームのキャラじゃないんだからさ。


「ねえ、紫苑」


ちょっと落ち着いて考え直せば?と言いたくなり、彼の名前を呼んだ。

そしたら、こっちを向いた紫苑が近付いてきて、腕を伸ばすからビクッとなった。


「誰も萌音には触れさせない。俺以外の男に近付くな」


そう言ってる紫苑は私の背中に腕を回してて、私は子供の頃のように紫苑の胸の中にいる。


何が起こってるのか、最初はあまり理解が進まなくて、頭の上から聞こえる紫苑の声だけを耳にしてた。


「……俺、気付いたんだ。萌音のことが大事だって。
親からは妹みたいに見ろって幼い頃から言われてたけど、あんまりそれを意識してはこなかった。

赤ん坊の頃から萌音のことが可愛くて、いつも独り占めしたいと思ってた。

大人にも誰にも触れさせたくないと考えて、今みたいに抱いてばっかいた。

< 134 / 221 >

この作品をシェア

pagetop