幼馴染みと、恋とか愛とか
こうしてると嬉しかった。
気持ちがホッとしてあったかくなって、凄く幸せだと感じた。

……だけど、大人になるにつれて、そんな自分の感情に恥ずかしさも覚えた。
萌音の存在が身近過ぎて、距離を置かなきゃいけない様な気がしたんだ。

社会人になると忙しかったし、萌音のことを見なくても済んだ。

だから、もう俺の役目は終わったんだとばかり思ってた。

でも……」


ぎゅっと強く抱き竦められて、ビクッとまた背中を伸ばす。
紫苑はそれでも腕の力を緩めず、その姿勢のまま私に___



「結婚しよう。萌音」


熱の込もった声で囁き、ドキッと胸が鳴り響く。
えっ…?と声を発すると、力を緩めて距離を空けた。


「おじさん達には萌音と結婚したいと申し込んだ。驚かれたけど、萌音がいいならいい…と許可も貰ってる。

さっきも言ったけど、俺はもう誰にも萌音を触れさせたくない。それが例え、どんなに信頼の厚い奴でも」


頰を包んで訴えてくる紫苑の顔は真剣で、私はぼうっとして言葉を失う。

そんな私を見る紫苑は苦笑していて、「萌音…」と甘い声で囁きながら寄ってくる。

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