幼馴染みと、恋とか愛とか
私達の様子が変だと感じたらしい母は、とにかく今夜のところは帰る?と紫苑に退室を促し、彼もそれに応じるしかなくて。


「それじゃ、おやすみ。萌音」


仕様がない様子で声をかけられた。
でも、何も返事が出来ないくらい、私は布団の中で怯えてた。



悔しかった。

誰よりも安心出来ると思ってた紫苑を、あんな人達と同じ様に感じてしまったことが。



(私もう誰に触れられても、同じ様にしか思えないの!?)


そんな風に考えてしまうと悲しい。

たった一人の味方も敵になってしまったみたいで、辛くて寂しくて、涙が止めどなく溢れ落ちた____。




翌朝、バツの悪そうな表情で紫苑が迎えに来て、私達は検査の予約がしてある病院へ向かった。


車内の雰囲気は最悪で、重い空気が立ち込めてる。
私は紫苑に「おはよう」以外の言葉をかけれず、彼も同じように何をどう言っていいのか迷ってるように見えた。



「昨夜は驚かせて悪かった」


紫苑は信号で止まるとそう切りだした。

私はピクッと指先を動かし、ううん…と小さく首を振る。ちらっと視線を配る紫苑を感じ、きゅっと肩を竦めた。


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