幼馴染みと、恋とか愛とか
この後はもうオフィスに向かっていい…と言うつもりでいた。そして__


「紫苑」


声をかけると目線が向く。
ビクッとしそうになり、大丈夫…と自分に言い聞かせた。


「あの……私、いろいろ考えたんだけど、首藤さんはやっぱり解雇しちゃ駄目だと思うの。
…でも、このまま私が紫苑のオフィスで働いてたら、昨日みたいに紫苑が心配することもあると思うし、その度に悪い冗談を聞かされるのも私も嫌だから……」


「悪い冗談?」


紫苑の声が不機嫌そうに聞こえる。昨夜一晩かけて出した答えを口にしようとしてた私は、ゴクンと唾を飲み込んだ。


「そうよ。…だから私、自分を解雇して欲しいと思うの。私がオフィスを辞めても紫苑には何の問題もないでしょ」


スケジュール管理も紫苑は自分で出来る。

私を雇ってた期間は短いから、他の社員にも「見込みがないと思ったから辞めさせた」と言えば都合も悪くない筈。


彼の評判を落とすこともない。
だから、そうしない?と提案をしたんだが。


「何言ってるんだ。萌音を解雇するなんて出来る訳ないだろ」


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