幼馴染みと、恋とか愛とか
ガタン、と腰が抜けるようにソファから滑り落ちた。そんな私に気づいた紫苑が「萌音」と呼び掛けて寄ってくる。


私はビクついて紫苑を見遣った。
側へ来ようとする彼を、パニックになってた私は……


「いやぁぁぁ!」


手を振り回してしまい、紫苑が驚く。
手首を掴むと「萌音!」と声を張り上げ、私はもう訳が分からなくなった。


「嫌ぁ!離してぇ!」


紫苑には見えてなかった。
元凶とも言えるべき人はその場から立ち去り、私は紫苑に手首を掴まれたまま泣くしかなくて。


「萌音!」


紫苑はそんな私のことを抱くようにしながら押さえ込んだ。
何度も名前を呼んでは力を入れてきて、必死で宥めようとするんだが………



「離して!!」


私が彼を突き飛ばして拒否した。
床に倒れ込む紫苑を見てハッとして、ようやく彼だと分かった時には目から涙がボロボロと溢れ返っていて__。


「……し…おん……」


昨日と同じように掠れた声で名前を呼ぶ。
紫苑の顔色が青ざめてて、私は改めて彼にしたことを思い返した。



「ごめ…っ…」


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