幼馴染みと、恋とか愛とか
ごめん、紫苑。

謝らなければならないのに、私の口からは嗚咽しか出ない。

ぎゅっと手を握るとそれを目頭に当てるしかなくて。
怯える子供みたいに泣くことしか出来なくて。


(紫苑……ごめんなさい……)


心では思いきり彼に謝る。
だけど、届く筈もない。

私は紫苑を何度も拒否してきた。
度重なる言葉も冗談としか受け止めず、本気の様な言葉も全身を使って拒絶した。


(もう駄目。私は紫苑の側には居られない)


紫苑だけじゃない。
多分これから先、自分に近づいて来る男性は誰も彼も拒否しそう。


一番大事で落ち着くと思ってた人を拒否するくらいだから。
私にはもう二度と男性を受け入れる日なんて来ない___。


そう思うと切なくなって、ボロボロと膝の上に涙が落ちる。

子供みたいに泣くじゃくる私に声を掛ける人もいなくて、まるでこの世に自分しかいない様な錯覚に陥った____。



< 143 / 221 >

この作品をシェア

pagetop