幼馴染みと、恋とか愛とか
「俺に萌音を守らせてくれよ」


俺の腕の中でなら安心して怖がってもいい。
時間がかかっても俺が萌音の恐怖を溶かしてやる。



「紫苑……」


萌音は信じられない様な顔つきでいる。
目からはまだ涙が溢れているけど、それは流れ始めた頃のものとは別の意味があると思いたい。


「もう泣くな。目がウサギ並みに赤いぞ」


ゴシゴシと少し乱暴に目尻を拭いた。
萌音は慌てて「マスカラが取れる!」と顔を背ける。
俺はそれを見て小さく苦笑した。


「萌音…」


本当ならここで抱き締めてキスをしてやりたい。
萌音が怖さを忘れるくらい、濃厚なやつを。

でも__



「紫苑の気持ちは有難いよ。だけど私は……」


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