幼馴染みと、恋とか愛とか
「新居に行くぞと言ってるんだ」


「ええっ!?シンキョ!?」


思考がぶっ飛んで漢字変換が間に合わない。
反論しようにも言葉が浮かばず、パクパクと口だけを動かした。


「姉ちゃん金魚みたい」


蓮也はお腹を抱えて笑い転げる。
そう言えば事の始まりは、この子の進学にあったんだ。


(おのれ〜、蓮也め!)


成敗してやる!とお腹の中で怒りの炎が燃えそうになったが、さっさと食ってしまえと急かせる紫苑の声に邪魔された。



(……全く、この先どうなるの?!)


ハチミツたっぷりのフレンチトーストに噛り付きながら、ノンビリと母の淹れたインスタントコーヒーを飲む紫苑を窺い見る。

まだ男性が怖いと思う私と二人で暮らしたいなんて、紫苑が何を考えてるのかが読めず、首を傾げながらその横顔を眺め続けた。


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