幼馴染みと、恋とか愛とか
私が緊張して顔を強張らせる度に紫苑は余計な気遣いをするんじゃないのか。

最初のうちはそれでいいと思って貰えても、そのうちには嫌になってくるんじゃないのか。


私も紫苑に気を遣って無理をするんじゃないか。

そういうのを重ねていって、結局はお互いに疲れてしまうのでは………



悶々と考え込んでたからか、紫苑の手がポンと頭の上に乗った。


「食べ終わったぞ。ご馳走さん」


片付けはしてやると言って立ち上がる。
紫苑が気を遣って食べてくれたのに…と思う私は、慌てて「いいよ」とお尻を上げた。



「大丈夫。私が洗うから」


走り寄ると紫苑が振り返る。
その動きにも何故かビクッとしてしまい、寄ろうとしていた足がピタッと止まった。

まただ…と思う次の瞬間には、紫苑が既に流しに振り向いてて。

歩み寄れない私の代わりに食器と鍋を洗ってくれて、自分の手を洗い流した後はハンドタオルで手を拭きながら振り返り、「買い物に行こうか」と笑いかけてくる。

 
「……うん、そうね…」


答えながら悲しくなった。

こんな感じで始まる紫苑との生活が、この先どんな風になるのかと思うと、不安でいっぱいになってしまった___。


< 176 / 221 >

この作品をシェア

pagetop