幼馴染みと、恋とか愛とか
「出来てるよ」


そう答えながら俯いて自分のスタイルを確認した。

私は胸の形がハッキリ分かる服が嫌いで、普段からフワッとしたシルエットのものをよく着る。
だから少し太めにも見えそうで、紫苑に比べると大分見劣りしそうだな…と考えた。


「じゃあ行くぞ」


私の思惑なんて紫苑には関係もないみたい。
服装チェックもされずに後ろを向かれ、仕様がない感じで足を踏み出した。


マンションの地下駐車場で車に乗り込み、取りあえずは街中を抜ける。
そこから海へ行くか、山の方へ行くかと問われ、「別にどっちでもいい」と紫苑に任せた。


「意思ねえのか」


「言っても反映されないから言いたくないのよ」


この同居もそうだし…と口にしそうになり、それを言っては怒らせそうだな…と我慢する。

紫苑は、それじゃ先に海へ行こう…と高速を走り抜け、マリンスポーツを楽しんでる人達が集う海岸へと辿り着いた。



「あちぃな」


照り付ける日差しを見上げながら言ってる。
真夏だからね…と砂浜を見つめ、幼い頃を思い出してた。


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