幼馴染みと、恋とか愛とか
子供の頃から大抵のことは見て聞いて知ってる…と話す紫苑の言葉を聞き、「はぁ!?」と私は声を上げた。


「私は全く知らなかったんだけど!?」


紫苑が会社を興してることも、社長なんて役職に就いてることすらも知らなかった。


「ハッ!もしかして父さん達は知ってて……」


まさかグル!?と疑ったが。


「残念ながらおじさん達も知らないよ。俺の親には『言うな』と散々釘刺してるし」


近所の連中に噂されんのは嫌だ…と言う紫苑の思惑も分からないではないんだが。


「内緒なんて姑息な手段取らないでよ!」


叫びながら紫苑の口利きなら間違いなく採用されると喜んでるはずの両親の顔が浮かび、ガクッと頭を項垂れる。


「別に俺は採用しなくてもいいんだけど、それじゃ萌音が困るんじゃないのか?」


職はないし結婚もしてないしじゃあな…と痛いところを突かれ、ぐうの音も出せないとはこの事だと観念した。



「悔しいけどその通りだわ」


ぎゅっと膝の上で拳を作り、頭くる〜!と脳内では思ったが__



「どうぞ宜しくお願い致します」


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