幼馴染みと、恋とか愛とか
道路沿いのカフェで昼食を済ませた。
紫苑は私の作った弁当が食べたかったと文句を言いながら車に乗り込み、次は何処へ行こうかと訊いてくる。

私はまだ部屋も全部片付けてないし、無理はしなくてもいいと言うのに聞かなくて。


「どうせ明日からまた忙しいんだ。一日くらいゆっくり休もう」


私と出掛けるのも悪くないと言ってくれる。
思い出と重なって色々と面白いと笑う。

そう言われると私は何も言い返せない。
私の方こそ、紫苑との思い出の違いを感じてはドキッとして、胸の内が騒つくのに……。


思い出すと顔が熱くなってきそうで、必死で車窓に目を向ける。

紫苑の車は、子供の頃に家族同士で行ったことがある緑地公園へ向かってるみたいだ。


そこはダムの袂にあって、ホタルの生息地としても知られる綺麗な小川が流れてる。

休日になると沢山の親子連れが訪れてきて、広大な芝生広場で子供と一緒に遊ぶ微笑ましい姿が見られる場所なんだが。


私はそこで絶対に会いたくない人を見かけた。
かつて勤めていた銀行で、支店長をしてた堀田(ほった)さん。

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