幼馴染みと、恋とか愛とか
「萌音が愛しいから何もかもが悔やまれる。こんなことなら親の言い付けなんて気にしないで、ずっと側にいれば良かった…」


「紫苑」


「そしたら萌音に隙なんて作らせずに済んだのに。変な野郎達に目を掛けられずに済んだのに」


紫苑の声はグイグイと私の胸の中に入ってくる。
その加熱するような想いがどんどん胸の奥に迫って、次第に過去の恐怖心を溶かしていく。


溶けた端から温かくなる。
冷えきって暗くなりそうだった心が、少しずつ明るく花開くように感じる。


「萌音をもっと知りたい。俺の全ても見せるから萌音も俺に縋れよ」


今度は熱いキスの嵐が降り注ぐ。
舌を絡め取られて口腔内を弄ばれる。

なのに、それを快感のように感じてる。
こんな濃厚なキスは初めてなのに___。


「萌音…」


唇の隙間から紫苑が名前を呼ぶ。
そして……。


「最高に可愛い」


ゾクッと背中が寒くなる。
でも、それは恐怖だからじゃない。

紫苑の私を見てる目が切なそうなくらい優しいから。
茶色の瞳が色気を帯びて私を心から求めてると思うから。


「紫苑…」




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