幼馴染みと、恋とか愛とか
誰の目にも触れさせたくない、と強い口調で続け、私を見直してこう言った。


「だから、早く決めろ。萌音が一番式を挙げたい場所でしよう」


「せっかち」


「ああ、だってもう待てないからな」


「私が断っても挙げるの?」


「断らないと思ってるから予約は入れる」


「どうしてそんなに」


「だって萌音が好きだから」


「私が幼馴染みの紫苑と、恋とか愛とか無理だと言っても?」


「言わないよ、萌音は。…それに、好きならいいだろ。幼馴染みでも、恋とか愛とかしたって」


「適当過ぎない?」


「適当じゃねえよ」


ぐいと腰に腕を回して引き寄せる。
目と鼻の先に紫苑の顔が近づき、ドキン!と胸が跳ね上がった。


「……俺は萌音を愛してるんだ。だから、早く一緒になりたい」


同じことを何度も言わせんな…と唇に吸い寄る。
昼間と同じくらいに濃厚なキスをされ、私の意識がぼうっとする。


「俺、そういう萌音の顔が堪らなく好きだ。今夜はずっと側で見ておきたい」


キスを繰り返しながら次第に首筋へと移行する。
紫苑の指先が胸へと下り、ビクッと背中を伸ばした。


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