幼馴染みと、恋とか愛とか
私が知る限り、紫苑はそんなに優しくもなく、自分にとっては態度も横柄で、結構やんちゃなところもあって意地悪だった。


小さな頃から彼の両親に「何かあれば紫苑を頼ってね」と言われ続けてきた私は、何かにつけて相談や頼み事をしてたんだけど、大抵その結果は自分の意には沿わず、(何で!?)と思うところも多かった。


(それこそ本当の兄みたいだったと言うか、結果としては私の為になることでも、当時はどうにも納得がいかないことばかりだったんだよね)


それで優しいと言うよりも、意地悪とかやんちゃというイメージが強い。
良く言えば紫苑は兄貴肌なんだろうけど、それを優しいとも形容し難いと感じた。



柴原さんと一緒に五階の社長室へ出向き、トントンとドアをノックしたところで「どうぞ」と開けられて中に入る。


窓辺の光が差し込む明るい室内には、大きめの木製デスクが中央にドンと置かれてあり、側面には猫足のハンガーポールが一本とキャビネットがズラリと壁沿いに立ち並んでいる。


部屋のカラーリングはオークとグレーが基調。
差し色としては、キャビネットのファイルがブルーくらいのもの。

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