幼馴染みと、恋とか愛とか
何気なく萌音の後ろを見遣ると赤いバリスタマシーンが置かれてあり、思わずパチッと瞬きをした。


「どうしたんだ、それは」


ドアを閉めながら訊ねると、萌音は後ろを振り返って……


「ああ、総務に言って買わせて貰ったの。この部屋が余りにも味気なかったから」


休憩用よ…と話し、他にも物品を購入させて頂いたと説明しだす。


「先ずはグリーンを一鉢レンタルさせて貰って、花くらい飾りたいから花瓶を置く台を一つと、ファイルも用途ごとに色分けさせて貰ったんだけど…」


指差しながら話すのを聞き、出かける前よりも明るい雰囲気に変わった室内を見回す。

萌音としてはもっと明るい感じに設えたかったそうなんだが、社長室は色を控え目にしないと駄目だろうと思い、遠慮した…と残念がった。


「ねえ、私のデスクは何処に置けばいいの?このオフィスには秘書室というのはないと聞いたんだけど」


「…ああ、そうだな」


そう言いながら自分のデスクへ近寄ると、パソコンの傍には小さい植物の鉢が置いてあり……。


「それ可愛いでしょ。花屋さんに行ったら多肉植物の寄せ植えを売ってたの」


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