幼馴染みと、恋とか愛とか
俺としては初日くらいのんびりと働かせてやろうかと思ってたんだが、萌音は想像しているよりも遥かに有能で、働き者ではあるようだ。


(正直、あんまり期待もしてなかったんだがな…)


意外だと思う反面、結構感心な奴だとも思う。

目線を配ると萌音は詰まらなさそうに唇を尖らせていて、そんなところは幼い頃と変わらない…と笑い出しそうにもなった。


「…分かった。午後はもう少し難しい仕事をさせるよ。その前に俺にもコーヒーを淹れてくれないか」


椅子に座りながら願うと、急に嬉しそうな顔つきに変わった。


「はーい」


返事をすると、背中を伸ばしてマシーンへ向かう。

そんな萌音を見遣りながら、蓮也のことを頼みに来た時には(頼まれてもなぁ)と呆れたんだが…と振り返る。



(…まあ、思っている以上に買いだった…という訳か……)


幼い頃から顔と性格だけは変わらない気がする萌音の後ろ姿を見つめ、妙にホッと出来る自分を少し不思議だ…と感じていた。


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