幼馴染みと、恋とか愛とか
「ちょっと二人で飲みませんか?」


カウンターを指差され、少し迷いながらも一応付いて行く。

歩きながら後ろを振り返ると、紫苑は女性社員達に取り囲まれてて、こっちにもしも何かあったとしても、アテには出来るような雰囲気ではない。


(…でも、首藤さんは紫苑の右腕みたいな存在だし)


きっと…ううん多分変なことはしてこない筈…と予測して、背中を睨み付けながらカウンターチェアへと着く。

着席すると首藤さんは微笑みを浮かべ、カウンターの上に肘を乗せながらこう言った。

 
「嬉しかったです。一緒に飲んでもらえて」


こっちはそれに合わせて愛想笑いを浮かべ、何を飲みますか?と聞くから「ウーロンハイにしようかな」と答えた。


本当はウーロン茶にしておきたかったんだが、相手がカクテルを注文するのを見て、自分がウーロン茶ではマズいような気もして無理をした。


「仕事には幾らか慣れましたか?」


手を組み合わせ、顔だけを向けて聞いてくる首藤さん。私はその質問にこくっと頷き、「まあ少しは」と手短に答える。


「毎日社長にイビられてない?」


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