幼馴染みと、恋とか愛とか
(どうしよう。誰か此処へ来てくれないかな)


背中にゾクゾクとしたものを覚えながら(誰でもいいから来て)と願う。

けれど、首藤さんは紫苑に続くオフィスの実力者みたいで、誰も私達の邪魔をしようとはして来ない。


そのうちにカクテルは仕上がって差し出され、「どうぞ」と勧める首藤さんの手前、ハッキリ断るのも憚られて__。



ゴクン…と唾を飲み込んで手を竦める。
これって飲んだら絶対にヤバイよね…と思え、カウンターの下に手を引っ込めて、ぎゅっと力一杯握り締めた。


「三橋さん、どうしました?」


紳士な顔をして悪魔な男は幾らでもいる。

この人ももしかしてそういうタイプ?と見定めてると、背中からドサッと重いものがのし掛かってきた。


「何飲んでるんだよ?カクテルか?」


背中の方から伸びてくる手が、サッとカクテルのグラスを持ち上げる。

私はその重さに押されるように前屈みになり、後ろを斜めに振り返って、グラスに口を付けようとしてる相手のことを確かめた。


「……美味いな。スクリュードライバーか」


あっという間に飲み干してしまうと、私に体重を乗せてた相手が隣に座る。
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