幼馴染みと、恋とか愛とか
「元カノとかですか?」


柴原さんと同じ総務部の女子が訊く。
私はそれに目を丸めて首を横に振り、「とんでもない!」と付け加えた。


「それじゃ学生時代の先輩後輩とか?」


また別の女子が畳み掛けるように訊いてきて、(ひぃっ!)と焦る気持ちが増す。


「ち、違います!」


そりゃ小学校は同じ所に通ってたけど、中学からは学年も離れてるから一緒にはならなかったし。


「前職の顔見知りとか言ってたわよね。でも、三橋さんは派遣で働いてた訳だから、そこに再々社長が出入りしてないと懇意にもならないわよね」


名前呼び捨て=懇意だと思われてるらしく、(そりゃそうだけど…)と頭の中で肯定をしつつ__


「別に懇意な訳でもないですよ。ただきっと「三橋さん」と呼ぶよりも「萌音」と呼び捨てる方が早くて…」


「でも、社長はどんなに急いでる時でも女子は丁寧にさん付けで呼ぶわよ」


ちゃんと苗字でね…と鋭く突っ込まれ、(どうすりゃいいのさ)とお手上げしそうになる。


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