幼馴染みと、恋とか愛とか
オフィスの女子にはモテモテみたいなのに、特定の相手がいないのが不思議。


「紫苑って確か、高校時代にはコロコロ彼女が変わって…」


思い出したことを話そうとしたら、ジロッと鋭く睨まれた。
ゴホンと咳払いをする彼を冷めた眼差しで見つめ、まあ過去はともかく…と頭を切り替える。


「紫苑は今も唐揚げが好きなの?それから肉じゃがとか卵焼きとか、エビフライも」


子供の頃ガツガツと食べていた料理を思い出して聞いた。
こんなことまで知ってる自分にも彼氏なんていないけど。


「まあな」


コンビニの唐揚げも時々は食べる…と言い、それにもやっぱり呆れたんだが。



「……作ろうか」


「は?」


「毎日は嫌だけど、三日に一回くらいなら作って来てもいいよ」


お弁当…と言うと、パッと見開いた目が向いてくる。


「弁当?萌音が?」


食えるのか?という顔つきで、全く信じきれてないみたいだが。


(まあこれまでは料理をしてるところなんて、ちっとも見せたこともないから当然なんだけど)


「そうよ。これでも私、派遣で働いてる頃は毎日お弁当派だったの」


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