キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
暗い暗い闇が

全ての色を握り潰し

イーディスの目に映るのは

腕の中で冷たくなっている白蛙だけでした

これは夢だと思っていても

その冷たさはアリウムの制服を伝わり

イーディスの小さな胸を震えさせます

「ふざけんな・・・」

「同学年じゃ結構ある方なんだから」

髪をぎゅーっと握り締め

ふさぎこんだイーディスは

何も見えないどこかを見つめ

考える事を止めてしまいました

それからどれだけたったでしょう

ぐーっと鳴ったお腹の音と同時に

ぱぁーっと脳内にお花が咲き始めました

「・・・そっか」

「名前・・・付けるの忘れてた」
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