溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「まあ、楓ちゃん、なんて正直なの〜!修也君の妹なんでしょう?遥から噂は聞いててずっと会いたかったのよ。ああ、可愛くて頬ずりしたい」

可憐さんの勢いに気圧される。

『噂』って何?

問いかけるように遥に目を向けると、彼は可憐さんに冷ややかな視線を投げた。

「もう頬ずりしてるだろ?姉貴、楓が引いてる」

「こんな可愛いんだもの。仕方ないじゃない。ねえ、楓ちゃん、うちにいつお嫁に来てもいいのよ。きっと母さんも喜ぶわ。苦労させないわよ。遥のお金で豪遊も出来るし」

うふふっと微笑む可憐さん。

なぜ私が遥の嫁に?

「いや……それは、遥……成瀬さんにも選ぶ権利が」

しどろもどろになりながらも遠回しに断るが、可憐さんは諦めてくれない。

「ウェディングドレス選びが楽しみだわ。ねえ、早く式の日取り決めましょう」

私の頰を撫でながら、可憐さんは色っぽい声で説得しようとする。
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