溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
エステと高級寿司で身体が満足したのか、帰りのタクシーの中でウトウトしてしまう。

「ベッドがあったら……すぐに寝そう」

睡魔と必死で戦いながら呟く。

「酒も飲んでないのに、食べて寝るってお前はガキか」

隣で遥が呆れたように笑った。

でも、あまりに眠くて反論出来ない。

何度も瞬きするが、フッと時々意識がなくなる。

そう言えば、遥にご馳走さまって言ってなかったような……。

「は……遥」

後部座席のドアに寄りかかりながら、彼の名を呼ぶ。

あっ、この体勢楽か……も。

ドアが冷たくて気持ちいい。

「ん?って、お前寝るなよ。もうすぐ着くぞ」

「……ご馳走さま」

そう呟いたら、「ったく、仕方がないな」って遥の声がして、優しい温もりが私を包み込んだ。
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