溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない

「仕方なくって……。あの成瀬先輩だよ。楓は贅沢だなあ。同居するだけで、私なら失神する」

目を輝かせ興奮する美桜。

遥、誰が見てもとびきりのイケメンだからな。

四歳離れている遥とお兄ちゃんとは中学から大学まで一緒になることはなかったけど、一貫校だったこともあり、ふたりは伝説的存在として下級生にも知られていた。

どちらも容姿端麗で文武両道、学校でも圧倒的な存在感があって、女子だけでなく男子の憧れの的でもあったんだよね。

「優馬君がいるくせにそんなこと言っていいの？」

パスタを口に運びながら美桜をからかう。

優馬君というのは彼女の彼氏だ。

「いいの。いいの。私にとっては手に届かないアイドルみたいな存在だもん。楓と違ってただキャーキャー言うだけだよ」

美桜の説明にキョトンとする。

「私と違ってって、意味がよくわかりません」