溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「ふーん。じゃあ、成瀬先輩と一緒に同居しててなんかないの?甘いムードとか?」

嬉々とした顔で聞いてくる美桜。

その話題にギクッとする。

同居してからではなくて、同居前にとんでもなく大変なことがありました。

「はは……あるわけないじゃない。私と遥だよ?」

ハラハラしながら否定するも、美桜は私をじっとりと見た。

うっ、この顔。

誤魔化されてくれないか。

「楓って嘘つくと、顔が引きつるんだよね。成瀬先輩と寝た?」

美桜はいきなり核心を突いてくる。

ずっと胸の奥にしまってあって誰にも言えなかったあの夜の話。

美桜になら打ち明けてもいいだろうか?

迷ってしまう。

でも、こんなこと言えるのは彼女しかいない。

「実は……佐倉先輩の浮気現場を目撃した後、バーで自棄酒飲んでたら遥に偶然会って、それで……彼と……」

そこまで言うのが精一杯だった。
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