溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
でも、鋭い彼女は私の表情からすぐに察して、素っ頓狂な声を上げた。

「え?本当に寝ちゃったの〜⁉︎」

場所を忘れて大声を出す彼女の口を慌てて押さえる。

多分、彼女は『寝た?』とは聞いたものの、せいぜいキスくらいまでと思っていたのだろう。

二十八年間ずっと処女だった私がいきなりそこまで進展するんだもん。

そりゃあ驚くよね。

「し!美桜、声、大き過ぎ!」

声を潜めて美桜を注意した。

「……ごめん」

彼女が申し訳なさそうに謝ると、その口を押さえていた手を外す。

すると、美桜は前屈みになり、ヒソヒソ声で話しだした。

「じゃあ、今は成瀬先輩と恋人同士ってこと?同居じゃなくて同棲?」

「違う。ご主人様と居候の関係だよ」

遥の言葉をそのまま拝借し、自虐的に笑って否定する。
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