溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「え?意味わからないんだけど」

美桜は私の回答に首を傾げた。

「遥と寝たのはその時だけで、今はなんにもないよ。GWに一緒に温泉行ったけどね」

身体を重ねるどころか、手だって繋がない。

あの雪の夜のことが幻に思えるくらい、清い関係だ。

だが、美桜は突っ込んでくる。

「温泉で何かあったりしなかったの?」

「私、寝ぼけてて遥の布団に入ったみたいなんだけど、何もされなかったよ。女として見られてないんだよ」

遥なら最高の女を選べる。

明るく笑い飛ばす私とは対照的に、美桜は眉根を寄せた。

「じゃあ、どうして楓が自暴自棄になった時に成瀬先輩は抱いたの?」

それは、私もずっと疑問に思ってきたことだ。

自信がなくて疑問形で返す。

「ボランティア精神?」

「は?」

私の発言に美桜は目を丸くした。

仕方がないので正直に本音を口にする。
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