溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「それは私もよくわからない。遥が抱いてくれなきゃ他の人に抱いてもらうとかなんとか滅茶苦茶なこと言ったから、仕方なくだったかもしれない」

「そうかな?」

私の答えに納得しない美桜。

「あの時のこと……遥と真剣に話してないんだ。まあ、私も忘れてくれた方が気が楽だし」

話をして彼と気まずくなるのが怖い。

「ねえ楓、成瀬先輩じゃなくても抱かれてた?」

美桜は私の顔をじっと見ながら、躊躇いがちに質問する。

遥以外の人?

佐倉先輩のことをふと思ったけど、すぐに嫌悪感を抱いて打ち消した。

あの人は父と同じことをした。

絶対に無理だ。

他の男性だったら、どうなっていただろう?

「仮定の話だからわからない」

俯いて首を左右に振ると、美桜は優しい声で話を続けた。

「楓は自分の初めてを大事に守ってきたよね。でも前の彼とは一年付き合ってても、寝なかった。いつかは……って思っていたかもしれないけど、自分の初めてをあげるほど、気を許してなかったんじゃない?」
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