溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
ない、ない、あり得ない〜!

「楓、面白い。百面相してる」

楽しげに私を見物してる美桜をギロッと睨みつける。

「冷やかさないでよ。真剣に悩むところだったじゃない。もう男はいいの。このままひとりで楽しい老後を過ごしますよ」

拗ねて言えば、美桜はクスッと笑って恐ろしい言葉を投げた。

「そう言っててすぐに結婚したら笑えるね」

「絶対にないから……あっ」

前に遥に言われたことを思い出し、慌てて口をつぐむ。

私は……絶対に結婚なんかしない!

自分が例外になればいいのだ。

そんな私を見て彼女は訝しげな視線を投げた。

「どうしたの?」

溜め息交じりの声で返すと、自嘲気味に笑った。

「なんでもない。私……最近毒されてるのかも」

それからデザートが運ばれてきて、美味しいオレンジのタルトを堪能していたら、テーブルの上に置いておいたスマホがブルブルと震えた。
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