溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「城田美桜。私の親友。小学校の時から一緒でお兄ちゃんや遥のことも知ってるよ」

簡単に美桜のことを彼に説明する。

「そうか。初めましてかな?成瀬です。うちの楓がお世話になっています」

遥は麗しい王子の微笑で挨拶しながら、名刺を差し出す。

『うちの楓』って……。

彼の言い方がお兄ちゃんのと同じで、思わず苦笑してしまう。

「……はい。城田美桜です」

名刺を受け取り、美桜はボーッと遥を見上げた。

これは彼の魅力にキュン死してるよ。

でも、遥は気にすることなく彼女に声をかける。

「よかったら送って行くけど」

美桜は突然我に返って断った。

「い、いえ、彼氏が迎えに来てくれるので。ありがとうございます」

彼女の彼氏が来るまで遥を交えて楽しく歓談した後、遥の車でマンションへーー。

途中信号待ちしていたら、彼が私の方を向いた。

「さっきのが元彼だろ?」

美桜といた時はそのことに触れてこなかったので、そのうち聞かれるかと覚悟はしていたのだけど、いざ聞かれると動揺する。
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