溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
10、シンデレラタイム ー 遥side
俺のキスに驚きで目を見開く楓。

だが、もう驚く余裕だって与えてやらない。

舌を絡ませキスを深めれば、彼女は「うう……ん」とくぐもった声を上げた。

抵抗はしてこない。

逆に俺のスーツのジャケットをギュッと掴んでくる。

やめて欲しいと言えば、そうするつもりだった。

前の彼氏に未練はないと言っていたし、俺がキスしたらどういう反応をするか知りたくて……。

楓を迎えに行ってまさか前の彼氏と一緒にいるとは思わなかった。

彼女の会社で一度目にしただけの相手。

『俺達は終わってなんかいない』

そいつが楓に自分の気持ちをぶつけるのを見て、怒りが込み上げた。

彼女を裏切ったのに元鞘に戻りたいって?

それだけじゃない。

あの男は、楓が倒れた時、ボーッと見ていただけで何もしなかった。

許せない……そんな感情に支配された俺。

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